読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無人通信

森のほねほねさんから無人通信

無人通信 3

ぼくはあくだ。ぼくのことば、ぼくのおこない、ぼくのおもえることごとは、みなみなあくで、みなみなぼくのこども、ぼくはとりかえしがつかない。
ただしい、ただしい、ただしい、ただしさのおもたさにぼくの背骨はおれてしまう、おれる、おれる、ああ、おれろ、おれろ。ぼくのうむこどもたちは、よいこにあこがれむねをつぶすのが趣味で、かみさまにあてる手紙をかきながら、たてひざでものをくう。
その手で、ゆるされぬひとのからだにさわり、その手で、なみだをぬぐったつもり、その手で、みずからのくびをしめるそぶりをみせ、その手で、こうしてかみさまの国へ手紙をかく。
ぼくはあくだ。

昨年の12月29日、本八幡ルートフォーティーンの演目
1 きみ(カバー)
2 ほろぼし
3 行列
4 ぼくたちがほんとうに若かったころ

無人通信 2

狐の行列をみた。おれもいつのまにか参道そばの行列につき、そのまま深夜二時をすぎた。昼間に蕎麦を食べたきりのからだはじょじょにいたんだ。もはやおれはなんに並んでいるのかもわからない。さむかった。ぼくのいるところからとおい焚火をひとびとが囲んでいる。火の粉があがってきえた。
石がおいてある。なにかを願いながらこの石を持ちあげるとき、予想していたよりも軽いと感じればその願いは叶う、重ければ叶いづらいという。ぼくにとって、その石は持ちあげられないほど重たかった。ぼくの願ったことは、手のとどかないものだったかどうか、ぼくにはわからない。
終夜運転の電車はちっともこなかった。地下鉄の階段にすわり、抱きあって暖をとるひとたちがいた。小便器に吐いたものがつまり、水があふれていた。口で息をして歩いた。
ぼくはやぶれそうな28歳だ、と日記に書いて部屋をでてきた。
ぼくのくらさよ、ぼくのぼくとおなじおおきさをしたくらきしっとよ、おれをやいておくれよ、おれをねむらせておくれよ。

無人通信 1

でたまちにも、きたまちにも、ヒトッコひとりいない。冷蔵庫のモーター音だけがしている。おもえば、ぼくのそばで10年もなっていたのだ。スパゲッティといっしょに、もらったブロッコリーを茹でて食べた。笊の目にブロッコリーの子どもたちがつまった。ブロッコリーなんてちいさい森じゃないか、といったひとがいて、それをきいたおんなのこたちが、ほんとうにたのしそうにわらった。おれはそんなのぜんぜんつまんないよ、と思った。田端駅のさきの峡谷には、目玉をなくしたトロルがいまもしゃがみこんでるらしい。ヒトッコが教えてくれた。そろそろ出かけなくちゃ、でたまちにも、きたまちにも、たずねるまちにも、たまにすれちがうひとびとがいるばかりで、きっとぼくにはなにもない。瓶入りの牛乳をさがしています。